芸術家(アーティスト)の定義
いきなりですが、皆さんは「芸術家(アーティスト)」の定義は何だと思いますか? もちろん色々な考え方があると思いますが、ここでは1980年に発表されたUNESCOの「芸術家の地位に関する勧告」の中での定義を紹介したいと思います。それは以下のようなものになります。
「芸術家」とは、芸術作品を創造し、表現し又は改造を行い、その芸術的創造を自己の生活の本質的部分とみなし、これを通じ芸術と文化の発展に貢献し、かつ、雇用関係や団体関係があると否とを問わず、芸術家として認知され、又は認知されることを希望するすべての者を意味するものとする。
この定義を受けて、国際美術連盟は「芸術家はその芸術実践によって生計をたてていなくても、芸術のプロフェッショナルとして認められる」と表明しています。
音楽で生計を立てているかどうかは関係ない
つまり、プロのアーティストであるということは、レコード会社に所属しているとか、その活動だけで生計を立てているかどうか、ということとは関係ないのです。もちろん、一攫千金を狙うだとか、有名になりたいだととか、そうした動機と音楽活動が共存することには何も問題はありません。しかし、もし自分の人生を考えたときに一番の目的が「音楽家(芸術家)でありたい」ということであるのなら、それらは必ずしも重要なことではないのです。実際に、何か音楽以外の仕事をしながら音楽活動をライフワークにしている人はとても多いです。
好きなことを優先した結果、個性的なアーティストを多数輩出
外国ですがひとつ例を挙げてみましょう。アイスランドという国がありますが、そこは人口が30万人程度しかいません。ということは、全国民が誰かの曲を買っても、動画やストリーミング再生したとしても、30万程度にしかならないということです。つまりそれだけでは生計が成り立たないのです。そのためこの国の音楽家たちは、最初から音楽だけで生活しようとは思わず、違う仕事を並行して持っていることが一般的です。また「売れること」を目的にして活動せず、自分の好きなことを優先して人生を通じて音楽活動を行なっているのです。すると逆に面白いことに、その結果として個性的なアーティストが育ち、人口が少ない国であるにもかかわらず、ビョークやシガーロス、という世界的なアーティストをむしろ多数輩出することになっているのです。
日本人は芸術活動を経済活動と結びつけすぎている
世界的にみても、実はそのような形で音楽が生活に根ざした国の方が実は多いのです。それに比べると、日本人は芸術活動を経済活動と結びつけすぎているようにも思えます。まず大事なことは、自分が楽しいと思える、納得できるような人生がどんなものかを考えたときに、そこに音楽が必要だと思うのなら、それを生涯を通して大切にすることなのだと思います。そうした豊かな人生を支えるための学びを、ミューズでは提供していきたいと考えています。